★独学、61歳受験生が行政書士試験に合格する法① 模試受けず過去問徹底

61歳受験生c
Ads by Google
Pocket

 

昨年11月13日(日)、静岡大学で平成23年度行政書士試験を受けた。3時間の奮闘、頭を絞り切っての感想を言えば、「難しかったー!」。会場からの帰途、車を運転しながら、くらーい気分になった。
『今年だめなら、もう(受験するのを)やめるかな…』

 

試験を振り返って

絶望的な気分になった理由は、どれだけ時間をかけて勉強しても、今年の試験の傾向が続くなら、点数はなかなか上がらないのではないかと思えたからだ。

 

難しい問題には歯が立たない

そのことは、なんとなく以前から分かっていた。
過去問をやれば、難なく解ける。
過去問に近い形の出題なら、80%正解の自信がある。
しかし、最近はそんな“当たり前の形の問題”はあまり出ない。
テキストや条文を読んでいれば解ける、という問題が少ないのだ。

 

終盤の2ヶ月、僕は徹底的に問題集(模試タイプ)をやった。
問題が難しいと正答率60%を切ることがある。
やさしい問題だと90%取れるときもあった。
つまり、難しく作られれば歯が立たず、過去問に近い形式なら8割、9割に届く。平均すれば何とか70%に届くかどうかというのが今の僕の実力である。
(以上、すべて記述問題を除く)

 

この2年間、一所懸命勉強してきたからそれなりの力はある。その受験生が合格できるか否か、それは、一に掛かって試験委員のサジ加減にかかっている。合格率を下げたければ問題を難しくし、上げたければ甘くする。試験委員の方針により、受験生は翻弄される。そして最近の傾向を見る限り、受験生が手に負える問題は少なくなっている。

 

「満遍なく取る」が僕の戦略

こうした中で、僕なりにつかんだ戦略がある。
それは『法令問題で大量点を取ろうとは思うな』ということである。
▼5肢択一式、憲法・基礎法学を60%、メインとなる行政法も60%、膨大な勉強を必要とする民法も60%、会社法も捨てずに60%。
▼多肢選択式(穴埋め問題)の3問、そして▼5肢択一の一般知識も同様だ。
さらに▼記述式も60%獲得を目指す。

 

言っている意味がお分かりだろうか。
どの科目も満遍なく取る、そうでなければ活路はない、ということだ。
これは娘が前前回、合格した時と対極をなす戦略である。
長女は4ヶ月間の勉強で行政書士試験に合格した。
今振り返れば、奇跡のような僥倖だったと思う(彼女には失礼だが)。
しかし僕は娘の“成功”により、錯覚した。
「法令問題で大量点が取れる」と勘違いしたのだ。

 

わずか4ヶ月の勉強では、記述式まで到底手が回らない。
そこで彼女は択一式を徹底して勉強した。
それでも知識としては不十分だったと思うが、天才的な筋読みのよさを発揮して、なんと択一式・多肢選択式の法令・一般知識で176点を叩き出した(正答率73.3%)。
合格まであと4点。

 

自己採点して「あと4点」と分かったとき、娘は浮かぬ顔をした。
よほど記述式に自信がなかったのだろう。
「書いてはきたけど………」
それでも何とか8点を獲得(満点は60点)して滑り込んだ。

 

択一式で穴を作らず、記述式も60%取る

記述式を捨て択一式に賭ける娘の戦略は、結果的には功を奏した。
それで僕は大いに影響を受けた。
「法令で最低でも70%」これをノルマにしようと考えたのだから。

 

しかし、本試験を前にした2ヶ月間、徹底的に問題集をこなす中で勘違いに気がついた。
もともと「60%を取れば合格」の試験である。
試験委員は間違いなく、“落とすための問題”を出してくる。
「一般知識」はいくらでも難問・奇問の作出が可能だ。
「民法」もプロの手に掛かれば、歯が立たない問題はいくらでも作れる。
つまり、大量点を取らせないよう問題を精選してくるに違いないのだ。
娘が法令で高い点を取れたのは、稀有な例外と見たほうがいい。

 

だとすれば、結論は一つ。
とにかくくらいついて、択一式で大きな穴を作らない。
そして、記述式でも確実に60%を取る(「択一式で貯金」戦略は取らない)。

 

実際の試験は、冒頭に感想を述べたように満遍なく骨があった。
どこを切っても息を抜ける問題は少なく、悪戦苦闘した。
幸運なことに記述式は3問とも「歯が立たない」と言うほどではなく、暗い気持ちになりながらも、そこに一縷の望みを託すことができた。

 

昨年よりは実力は上がったか

前回22年度試験は、実を言うと「やられた」感はそれほどなかった。
「難しかった」と思ったが、惨敗ではないとも思っていた。
しかし、結果は「実力不足」が如実だった。

 

5肢択一の法令 22/40問 
多肢選択 3/12問 
5肢択一の一般知識 8/14問 
そして記述式は 28/60点
どれも6割に届いていない。

 

今年はさらに「難しいな」という感が強かった。
帰宅して妻には予防線を張って、「全然だめだった。今年も(合格は)難しいかも。これでだめなら、もう受けるのやめるよ」と超弱気な発言。

 

しかし結果は気になる。
前回は自己採点が恐ろしくて、娘に採点させた。
今年は覚悟を決め、自分で受験予備校の「速報」を見た。

 

2年目の実力⁈ 案外、取れていた!

5肢択一の法令 27/40問 
多肢選択 8/12問 
5肢択一の一般知識 9/14問 
ほとんどうちのめされるように帰ってきたが、案外取れている!!
5肢択一の法令108点、一般知識36点、多肢選択16点、で計160点。
合格点まであと20点、ぴったり3分の2の問題を正解したことになる。
が然いける気がしてきた。

 

記述式は自己採点が難しいが、3問中2問についてはキーワードを外していない。
あと1問も部分点は確実に取れそうな感じがしていた。
『60点中20点は取れる』と思いつつ、発表までやはりヤキモキした。
(結果的に、記述式は38/60点だった。今年度の試験の難易度は、僕の個人的な感想とは裏腹に、受験予備校の講評は「昨年よりやや易しくなった」と言う)

 

すべての項目で昨年より点数がアップしている。
試験結果の発表後、ほどなくして詳細の点数が送られてきて記述式が前年度比10点増であったことを確認した。
2年目、やはり力は着実に付いていたようだ。

 

1年目、つかれたように勉強

1年目
平日4時間、土日祭日10時間。月平均170時間。
2年目
平日3時間、土日祭日6~8時間。月平均130時間
正直に言って、2年目は1年目ほど馬力が続かなかった。

 

今回は、勤務が変わったことが大きかった。
38年間勤めた新聞社の仕事から放送局の職場に一転。
右も左も分からず、機械の知識もゼロ。
人も知らず、おまけに仕事は管理の仕事から現場(一線)の仕事に。人手が足りなくなった職場で、これはもう物理的に忙しかった。
帰宅するとグッタリした。
『ここで無理すると壊れちゃうぞ』と、自分でペースを落とした。

 

睡眠、読書、テレビを削る

2年目はそんな調子だったが、1年目は異常なほど張り切っていた。
しかし、一家の大黒柱は意外に時間を取られる。
妻の運転手、母の介護、家(稽古場)の建て替え・引越し、家族の問題……。
この点、若い受験生とは全く条件が違う。
「勉強=無条件に歓迎」、というほど甘くはないのだ。
削ったのは睡眠時間と、読書とテレビ。

 

真っ先に削ったのはテレビである。
毎夜漫然と観ていたのを、1週間1番組(1時間のみ)に絞った。読書も法律関係の本(テキストと六法全書)以外は読まないと決めた。
ゴルフも完全に封印した。

 

偏差値が低くても一つの過程

僕は元々、司法書士試験を目指していた。
09年10月、行政書士試験を受ける娘にそそのかされて勉強を始めた。
『娘が行政書士なら、俺は司法書士を狙おう』と。

 

しかし見通しは甘かったと言うべきだ。
翌年5月初旬、LECの公開模試を受けた。
初めての他流仕合いだったことを考慮しても、結果はひどかった。
とにかく、午前と午後の2回の試験で70問ある5肢択一式のうち、はっきり正解が分かったのは1問もなかったのだから。

 

LECの模試は大惨敗

恥ずかしいが結果を公表する。
  ▼ 70問中正解は25問(午前14問、午後11問)
  ▼ 記述式 不動産登記 1/35点、商業登記 12/35点
  ▼ 偏差値 午前 40.9、午後 37.6、全体 38.7
  ▼ 順位 3511人中の2921番

 

がっくりきた。
確かにひどい。精神的な建て直しにほぼ1ヶ月かかった。
しかしそれで絶望したかと言うと、投げ出す気は全くなかった。
成果の出なさ加減に我ながらあきれたが、
『こういう過程はあるんじゃないか』とは思っていたのだ。

 

どこまでも楽観主義、僕の思考

ゼロから初めて、右から左にスラスラと法律的思考が身につくはずがない。
知識をタップリ詰め込んで、判例を覚え、ケースを自分で考え……、つまり長い熟成の時間が必要で、今はまだ知識を詰め込んでいる段階。
その知識にしても、せいぜいがテキストである。
まだほんの入り口をくぐっただけ。道のりが遠いことは分かっていた。

 

基本、僕は楽観主義なのだ。
根拠のない自信だけは持っている。
いや、違うな。
やったことに対しては自信を抱く(これは当然!)
やってないこと、今までやったことと比べてどうかと考える。
それで「可能」と信じれば、『出来るんだろう』と信じる、そういう自信である。

 

時々、歩きながら夢を見た。
全国最高齢を前に「いくつになっても出発できる」と講演している夢。
今は何もないけれど、その先には「してやったり」の自分がいる……。
ただし、模擬試験の結果を見て、志望は変えた。
司法書士試験は「1年では無理」とはっきり分かったからだ。
何年もかけている余裕はない、それでターゲットを行政書士に変えた。

 

独学だから遠回りはしたかも

勉強法は、と言えるほどのものはない。
特徴があるとすれば、完全に独学だったことだろうか。
受験予備校の存在は知っていたが、講義に掛かる時間がもったいなかった。
それに、自分より格段に若い受験生たちと席を並べるのは恥ずかしい。

 

司法書士試験の過去問は、東京リーガルマインド(LEC)のものを買った。
解説のDVD付き。全10巻で16万円もした!(授業料に比べれば安い)
ところが、全く歯が立たない(いきなりなんて、無謀である)。
問題の意味さえ分からない(当たり前だ)。

 

この時点でDVDを見ても時間の無駄、と思った。
結局DVDは1つも見なかった。高い買い物だった。
でも、この高い買い物のおかげで「不退転」を貫けたのかもしれない。

 

勘や推理で過去問は当たらないと痛感したので、テキストを買ってきた。
入門編、なんなく読める。しかし問題を解く手がかりには全くならない。
もう少し詳しいテキスト。これを読了しても同様だった。
仕方がない、本格的なテキストを。

 

資格の天才・山本浩司を読む

選んだのは資格の天才・山本浩司さんの本。民法から読み始める……。
一見とっつきやすいが、読み進むにつれ理解困難になっていく。
分からなくても先に進めと書いてあったので、とにかくしまいまで読んだ。

 

今ならこのテキスト、個性的でクセが強いことが分かる。
しかし当時、バイブルのように読んでいたが、しばしば「概念の壁」にぶつかった。
言葉自体、概念そのものが初学者には難解なのだ。
つっかえつっかえだから、読み進むのは1時間10ページのペース。
何とか10科目(司法書士は科目が多い!)読むのに丸々2ヶ月かかった。

 

2か月勉強したのに過去問に通用せず

ようやく過去問に再チャレンジ。
ここでの衝撃はもっと大きかった。
歯が立たない。テキストを全部読んだのに!!
甘い。その程度でスイスイ解けるものなら誰でも一発合格だ。
ここにおいて初めて『この試験、一筋縄でいかない』と実感した。

 

過去問を一通りやるのに3ヶ月くらいかかった。
そういうペースだから、ようやく一順したときには、前に学習した分は記憶のかなた。
過去問をやれば力がつくと思っていたが、実感が沸くどころではなかった。

 

覚えたことをアウトプットする、
過去問で知識と思考力を試すことはエネルギーを必要とする。
しかし『この作業が一番、記憶を鍛える』ことだけは分かってきた。
勘で当たっても何の意味もないし、勘では当たらないようにできている。

 

すべては「法律」という根拠だ。
条文の記憶、趣旨の理解、判例……
足りないのはそれである。
もっとも、そのことに気づくのは2年目になってからだったのだが。

 

模試に失敗後、行政書士に志望変更

そんなこんな、実力も備わっていない時点で模試を受けた。
前に書いた2010年5月、LECの司法書士試験公開模試である。
結果は先ほど書いた通り。
方向転換せざるを得なかった。

 

行政書士に目標を変えてからは、まずLECのテキストを買った。
よくまとまっており、量も大して多くはない。
行政書士の科目のうち、民法、会社法、憲法は司法書士とかぶる。
くみしやすし、と思ったのは自分の甘さである。

 

行政書士も、簡単なわけなかった!

試しに民法の行政書士試験の過去問をやってみた。
正答率が低い! 
んっ? 『俺は何をやってきたんだ……』
行政書士試験も合格率数%の難関試験だ、簡単なわけがなかった。

 

司法書士試験の1次合格ラインは民法で80~85%。
対する行政書士試験では60%が合格ラインである。
その分、問題は難しくて当然と見るべきなのだ。

 

それでも『何とか受かるのでは』と考えたのは希望的観測と言うもの。
1年目不合格となったのは、明確に力不足であった。

 

今度は六法全書をよく読んだ

1年目、僕はずいぶん焦っていたようだ。
のどから手が出るほど“勲章”が欲しかった。
具体的成果を求めていたのだ。
60歳という年齢のこともあるが、肩書きで生きてきた人間だから「何もない状態」は不安でたまらず、とにかく結果を求めたわけだった。

 

先を急ぐから、『省ける』と思えば覚えようとしない。
典型が「六法全書」だ。
考えてみれば1年目、テキストや過去問をやりながら、ほとんど「六法」には目を通していない。

 

テキスト、過去問を繰り返しやってきたが、何かあいまいさがつきまとった。
試験に失敗し、あらためて法律の条文を読みはじめて気が付いた。
『答えは全部、条文に書いてある!』
民法などその典型。5肢択一の答えは条文から明快に引き出せる。

 

そして判例。
過去問レベルの問題は、判例を知っていればたいてい当てることができる。
この辺のことは、予備校に通っていれば“常識”だったと思う。
遅ればせながら「行政書士受験六法」を購入し、読みふけった。

 

「民法」自作ノートは150㌻

他の科目も同じ。
行政法などは、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法があり、テキストを読めば読むほど混乱してくる。
条文が紛らわしいのだ。
この歳だと、とても条文1字1句は記憶できない。
しかし六法で、法律の最初から最後まで読み通すと、なぜその条文があるのか、文言がなぜそうなっているのかが分かってくる。
こんがらがっていたモヤが晴れてくるような気がした。

 

そしてあらためて民法の「山本」テキストを読んでみる。
今度はスッキリ理解できる個所が多い。
それでもあいまいさは残るのだが、何度も何度も読むと『こういうことか…』が伝わってくる。

 

試験に落ちてから、自分でノートをつくり始めた。
紙は使わない。A4サイズのワープロにどんどん打ち込む。
右手の中指が痛くなるほどキーボードを触った。
(僕はいまだに1本指入力だが、考える速度で打つことはできる!)
重要と思われる個所は自分で要約し、合わせて関連条文をネットからコピペ、枠に囲んだ。
民法など結局、A4用紙150ページ余りにもなり「まとめ」にならなかった。
ノートは全科目つくった。

 

ノートもあまりに膨大になると1日、2日では読みきれない。
そこで試験3ヶ月前には、新たに要約版もまとめた。

 

直前模試型の問題集にもバラツキ

勉強をしていて何が一番力を付けてくれるかと言えば、それは問題集である。
問題集の典型は過去問だ。
実際の試験に出たものだから、まさに「試験レベル」。
これが解けなければ、話にならない。

 

初めての過去問に向かうときには緊張する。
なかなか当たらない。それが実力だ。
初出の問題はどれも難しい(と感じる)。
しかし、2度目となるかなり当たってしまう。
回答の筋を覚えていなくても、「答えがこれ」は覚えているらしい。
この場合、当たっても意味はない。

 

「直前模試」を徹底的にやる

そこで試験日の直前には、1年目も2年目も、「直前模試」という問題集を何種類も買い込み、徹底的にやった。
60%超えた、超えないで一喜一憂……。

 

受験予備校主催の「公開模試」は受けるべきだという人が多い。しかし僕は前回のトラウマがあるので、避けて近づかなかった。

 

と言う訳で直前型の問題集をいくつも買い込み、1年目は遮二無二やった。
しかし2年目、問題集をやっていてはっきり問題集の優劣が分かってきた。
先に書いたように、トータル65~70%は取れる力があると思っていた。
目安は法令5肢択一問題40問中、28問取れるかどうか。
しかし問題集によって、極端に取れないものが出てきた。
カリカリした。
6割の24問を割る問題集もある。

 

『おやっ』と思った。問題にバラつきがあっても、例えば、民法が悪いときは行政法で稼げ、法令問題が不調なときは一般知識が楽である、とか……、
トータルすると、何となく収まるべき点数に収まる。
それが「まっとうな問題集」と言うべきだと思うが……。

 

問題集にも”不出来”はある

ところが箸にも棒にもかからない問題集があるのである。
法令も難しく、一般知識もサディスティックに難しい。
『これは俺の実力不足なのか?』1年目ならそう思ったろう。
しかし今回は『問題集の出来が悪い』と決め付け、気にしないことにした。

 

そこへ行くと、受験予備校が作った問題集はバランスが良かった。
1年間、半端でないくらい問題を作っているので、さすがである。
で、決論。
たまたま購入した直前問題集の結果が悪くても、パニックに陥る必要はない。
(つづく)

 

このブログは2012/2/8、行政書士試験に合格して8日目に書いたものを再掲、文章を少し手直ししています(日付などは当時のままです)。

 

★独学、61歳受験生が行政書士試験に合格する法② 悪条件に慣れる!

2015.09.19

私の原点です―――

★人生に「遅すぎ」なんてない、61歳の挑戦が醒めた心に火をつけた!

2016.06.12

サイトのトップページへ

ジャーナリスト石川秀樹相続対策の総合プロデューサー行政書士

■■ 遺言相続Solution.net ■■

Pocket

Ads by Google