★『常識に非をつけろ』山田経営維新塾の本がおもしろい

「常識に非をつけろ
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『常識に非をつけろ』
わが社で出版しておきながら、なんという本だろう!
いつもはどんな本の制作でも冷静に読むのに、この本には1行、1行心を揺さぶられた。

 

■圧巻の第2章、維新塾1年目

本を出版する者にとって、原稿を読むのは歓びである。
ましてこの本の著者、山田壽雄さんの文章は歯切れよく、明晰だ。
やさしい言葉で書かれているから、想いがスーッと伝わってくる。
よい文章を読むときの”快感”が得られさえする。
が、今回の私の体験は違うのだ。
読み返すたび、心にズシンと響く重さを感じた日々だった。

 

この本は「山田経営維新塾」を主宰する塾長の山田さんが、塾のあったその日のうちに塾生に宛てて書いたメールが基になっている。
(”圧巻の第2章”と私は名付けたのだが、)全編の半分を占める第2章は、維新塾1年目の模様を描いている。
生の塾生が登場する。維新塾第1期生である私も”レギュラー”のひとりだ。
当然、なつかしい。
なつかしいが恥ずかしい。
5年前と今の私はどこまで変われたのだろうか???

 

塾は毎月1回だが、朝9時半から夕方6時半までほぼ1日、ホテルにかんづめになる。
人間啓発系セミナーのように”教祖”の教えをゴリゴリ刷り込まれるような、そんなものではない。
しごく合理的だ。
第1回の塾のテーマは「人間力を磨く」。
<謙虚で素直に、おかげ様、感謝の気持ちを忘れない…………>

 

『何だか当たり前だなあ』と思って聞いていた
(そんなこと、初めからわかっているのに…………)
社会人なら当然のわきまえ、60歳すぎて聞かされる言葉ではないな、と。
心の中では、右から左に流す気分があった。
この日は午後から七福醸造の経営トップ、犬塚敦統(あつのり)さんの講義。
「環境整備」の話だった。

 

■「トイレ掃除」わかるか、って⁈

んっ、カンキョウセイビって、なに⁈
一部の経営者の間で犬塚さんは”有名な人”だったらしい。
徹底的に工場や事務所などの職場環境を整備する。
ただの整理整頓ではない、代表的なのはトイレの掃除だ。
みんなが使っているトイレを磨き上げ、犬塚さんは「洗ったトイレの水を飲む」と豪語する。

 

わかった気になった。
わかったというのは、山田塾長が第1回のゲストスピーカーとして犬塚さんを招いた狙いだ。
さすがに度肝を抜かれた。
どれほど徹すれば、精魂こめて磨けばトイレの水を飲めるまでになるのか。
《お前にできるか⁈》
いやいや、いやぁ………。
これは経営者として何かに徹することができるか、その覚悟を試されている
(まあ、僕はトイレ掃除まではやらないけれど、志としてはわかるよ)
その程度の理解(?)で私は、この話を心の中にしまった。

 

■「変わりなさい」と促す章立て

著者に原稿をドサッと渡されたとき、当然この話もその中にあった。
初見、その話の意味がわからなかった(5年もたっていたのに)。
私は3回もこの本のページレイアウトを変えているので(それだけ思い入れの強い本なのです)、そのたびに「原稿がどこかに消えていないか、おかしな個所に跳んでいないか」と、1ページから最後のページまでを読み返す。

 

黒バックに山田壽雄塾長の肖像写真。
ストレートな経営論を連想すると100%裏切られるだろう。
超絶おもしろく、あとから考えさせられる。
こんな本はどこにもない。

 

通読数回、すごい構成になっていた。
山田塾長が組み立てた「章立て」の妙に気がついたのだ。
まえがきと第1章で「山田経営維新塾」を立ち上げた志を述べ、続く第2章は1年目の塾でのことが延々とドキュメンタリー風に続けられる。
第3章では「経営を知る強み」が語られ、第4章「塾長語録を読み解く」では中小零細企業のリーダーがなすべき仕事と姿勢について山田さんが語った部分を友人が批判、そのまた反論で真意が強い口調で語られる。最後を飾る第5章は「ここからパリへ」。プロモデルを世界に通用するファッションモデルに育てようとする塾生の挑戦をルポしていた。

 

一見バラバラで深い意図はないように思えたのだが───
狙いは一貫している。
著者の「山田壽雄」さんは、山田経営維新塾の塾生一人ひとりを「変えよう」としているのだ。
「変えなければ次がない」と、この本でも気づかせようとしている!
月例の塾で「自分を変え、会社を変え、圧倒的な業績を残そう」と言い続けてきたように、
原点はここ。
「自分を変える」「会社を変える」のでなければ、中小零細は生き残れない、
その一念がこういう構成を取らせている。
緩急自在、いろんなボールが飛んでくるが、いわんとするのは「変わること」「あなたが実際にやってみせること!」だ。

 

■「自尊心」という小箱を抱きしめて

1回読んだときには、ただ懐かしいだけだったのに、(意図がわかってから読んだ)2回目、3回目は、ボコボに打たれ続けるボクサーのような気分になった。
《5年もたっているのに俺、変わってないんだ……》
何を聴いてきたんだろう?
どう受け止め、俺は何をした?
変えようという気持ちはあったはずなのに、この停滞はなんだ。
どうやら私は[自尊心]という小箱を抱きしめながら、《自分の根幹は変えない》とばかり意地を張っていただけのようだ。

 

《だから5年たっても成功できないんでいるんだな》

 

そもそも私は犬塚さんの話を受け流し、ただの1度もトイレ掃除をしなかった。
その日も塾長は「やったことしか結果は残らない。やってみてください」といっていたのに。
犬塚さんは「私には何もないから師匠にいわれるままに、ばかみたいに教えを実践してきただけ」とおっしゃっていた。
当時、重みのある言葉とは受け止められなかった。
素直さの強み、と今は「観念」ではわかったつもりでいるが、山田さんがこの本で伝えたいのは「頭でわかった気になるな!やったことしか、結果は残らない」だ。

 

■つっかえ棒を外す

「自尊心」は誰もが持っている小箱だと思う。
上を目指したい、人に勝ちたいという気持ちの強い人なら、誰でもこの小箱を持っている。
自尊心は自分を守るための「芯(しん)」になる。
つっかえ棒である。
だから大事だ。

 

だが、本当に変わらなければいけないとき、このつっかえ棒は邪魔になる。
「俺はトイレ磨きなんかしない」と思った私は、何を守ったのだろう。
変化するとは、自分を壊す作業である。
今までの自分が頼みにしてきた価値観や支えを、1回外してみる行為だ。
ばかにならなければできない。
頭から信じ込む度胸がなければ「小箱」を捨てられない。
だから1回目のメインスピーカーは犬塚さんでなければならなかった。

 

■拠り所を捨て自分創りなおし

2回目のゲストは、看板のない居酒屋「岡むら浪漫」の岡村佳明さんだった。
30歳過ぎまで来る波を相手として自然と遊んだサーファーが、「死ぬまでにもう一度、この店を建て直したい」という母の熱望にある日気づき、敢然と応えた。自然と生きるという男の芯(しん)を母のために捨て、自分を変えた。
3回目のゲストは、渋沢栄一の玄孫(やしゃご)澁澤健さん。
自分の3代前は”日本の資本主義の父”といわれる大看板だ。名門、保守本流、マネーの鬼。何もしなくても形容詞がついて回る。
澁澤さんが変わったのは投資顧問として世界や日本の歴史を、「30年1時代」という大きな流れの中で見ることを会得してからだ。
自分が生きる時代に合った”大義”の発見が、生き方を変えた。

 

みな一度、自分の信じてきたこと、依ってきたこと、頼みを捨てて「自分を創りなおす」という大事業を行っている。
「謙虚で素直に、人に感謝する心──」がなければできないことだった。

 

私に限らず、塾生の多くは「今までの自分」から飛び出し損なっている。
自分のやり方が通用しにくくなっているにもかかわらずだ。
塾長にいわれた言葉で、強く記憶に残り、以後よりどころにしている言葉がある。
「うまくいかないのは、やり方が間違っているからだ。成功したければやり方、考え方を変えなさい」

 

■評価するのはお客さま

「物でも商品でもサービスでも、売り込んだら売れない」
「お客さまを歓ばせる、感動していただくのが仕事」
「『してあげる』ではなく、私にできることを『お手伝いさせてください』」
己を頼むことの強い私は、こういうもの言いが苦手だ。
底を見透かされるようで、
(そう、商人のもみ手のように自分で感じてしまうのだ)
「そんなことはわかっているよ」と結局は、自分のスタイルを変えなかった。

 

つくづく「浅い理解だったなぁ」と思う。
想いがそこまで届いていなかったのだ。
どこかで思っていた。
『俺はよいことをしている』
『誠実でウソのない仕事』
『それでいてどこよりも割安で質が高い』
『そういう姿勢でやっているのに、なぜ世間の人はわずかな金を惜しみ、俺を発見しない?』
『そのくせ変な業者につかまって、途方もない無駄金を払わされているのだ』

 

「石川さん、評価するのはお客さまなんだよ」
これも塾長の言葉その意味が、ようやくわかってきた。
商人(あきんど)だからもみ手、なのではなく、心の底から
《あなたのお役に立ちたい》と思える自分にならなければいけなかった。

 

■あと一歩の人のための本

自分のことばかり書いたので、書評にもPRにもならなかった。
タイトルの『常識に非をつけろ』は、文字通り「常識を否定しよう」だ。
中小零細が大手と同じことをして勝てるわけがない。
コンビニなどを見ても、《これはっ!》と思ったことを大手が即実行している。
中小零細より小回りが利き、商品力を高めている。

 

かなわない。本当に。
このままでは10年後、個店はコンビニ以外残っていないのではないか。
でも「打つ手は無限」だと、この本のそこここにヒントが散りばめられている。
だから、よく読んでくれれば《中小零細経営のヒント集》としてもこの本は使える。

 

しかしこの本の価値の「一丁目一番地」は、自分が変わることの必要に気づきながら変われずにもがいている塾生と、全身全霊で「変われ!」となおも説き続ける塾長との葛藤劇だ。

 

それほどに「自分を変えること」は難しい。
この塾でも、劇的に変わり業績を上げ続けている女性がいる。
その話は今回の本には出てこない。
が、目の前の実例は大いに私を鼓舞する。
あと一歩なのだ、
本当の気づきまで、あと一歩。

 

日本中のあと一歩の人にこの本を読んでもらいたい。

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ジャーナリスト石川秀樹ミーツ出版行政書士

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