★2人に1人は「最後はひとり」になる! エンディングノートで老後を生き抜く準備を

エンディングノート
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いまエンディングノートを作っている。
今月中旬、静岡市内の生涯学習交流センターで「元気なうちから備える終活講座」というセミナーを行う。 そのための資料にしようと作り始めたのだが、あれも足りない、これも必要だと盛り込んだ結果、50ページあまりにもなってしまった。

 

■老後を生き抜く態勢をつくろう

作っていて思うのだが、本当に「死んでいく」というのは一大事業だ。 
みんな自覚がない。かく言う私自身がノー天気なもので[きょうの私はずっと先の私と同じだ]と思っている。
しかしセミナーで話すことは、これと正反対。 たぶん私は「10年後、20年後のあなたは、今のあなたとはまったく違う『あなた』です」と得々と話していると思う。

 

自分の不用意を棚に上げてこんな話をする(であろう)訳は、エンディングノートはこのことが中心軸だ、と思っているからだ。
葬儀の段取りやお墓のこと、供養のことなどどうでもいい。
「どうでもいい」は少し言い過ぎか・・・・でも私にとっては5番手、6番手のテーマなのだ。
何よりも肝心なのは、死に至るまではしっかり生きていられる態勢をつくること

「エンディングノート」

「エンディングノート」を老後を生き抜くための支援ツールとして使ってほしい

 

ざっかけない言い方なので、顔をしかめた人がいるかもしれない。でもお許しを。
今の世の中、「老後」の危険に満ち満ちている。
うかうか死の段取りなんぞと気取っちゃあいられない、というのが本音だ。

 

■老後は危険に満ち満ちている

第1のリスク。悪徳経済社会だ。オレオレ詐欺どころではない。詐欺師どもは完全に高齢者を標的にして、あの手この手、詐欺の手口を磨いている。
「そんなの例外でしょ? 私はだまされない」と思っているかもしれない。
確かに、新老人となった団塊の世代高齢集団の自負心にはおそれいる。今までの年寄りたちとは違う。だまされないというのだから、きっとだまされないだろう。
しかし、詐欺だけじゃあない。まともな会社だってやれ通販だ、サプリだ、やれ保険だ、信託だと狙いすまして私たちに誘いの手を伸ばしてくる。

 

事務所は近くにあるのだけれど、最近はつい面倒になって自宅でパソコンに向かっているうことが多い。するとひっきりなしに電話やFAXが入ってくる。大半が営業である。わが家に”被害者”がいる。90歳の書家、父である。毎日のように代引きの商品が届く。ことごとく水や健康食品。きりもなくカモになっているのに、注意しても一向に聞く耳を持たない。
いま私は父への憤懣をぶちまけてしまったが、消費社会のおいしいカモにされている父の姿が、未来の私や妻にならないとは言えない。みんな可能性があるのだ。

 

■人はボケる。大きなリスクだ

2番目。人はボケる。認知症などと言葉を変えても同じだ。だから、つまらない言い換えはしない。
ボケたらどうなるか。道が分からない。家族の顔も忘れ、最後は自分が誰なのかさえわからなくなる。それでも生きていかなければならない。想像を絶する。思いたくもないが、そんな中でも生きていくにはお金を使わなければならない。でも使えるのか!?  みんな、自分には関係ないと思っている。私はボケないと。でも80歳を越えれば2人に1人は多かれ少なかれボケる。私もだ。

 

「ボケない」なんて、なんの保障もない。根拠のない楽観だ。
考えたくないから考えないでいるだけ。
家族や誰かがずっと近くにいてくれるならそれでよい。何も考える必要がない。
でも、いつか1人になる人は、頭がしっかりしているうちに手を打っておかなければならない。

 

なんとかする手立てはないわけではない。
エンディングノートでは「もしも認知症になったら」に力を入れ、さまざまな方策を紹介。記述していくことでこの問題に対する具体的な提案と解答を得られるような形にした。
「まだ用がない」という人が多いとは思うが、無防備に老後に突入しないよう気にかけて目を通してほしい。

 

■「高齢者のいる世帯」に注目を

3番目。話の流れからしてとっくに見当がついていると思うが。
そう、人は「最後はひとり」になる可能性があるということだ。当たり前のことなのに、なぜか声を大にしてこのリスクを説く人がいない。
こんなことを率先して言いたくはないのだけれど、黙っていられないので書くことにする。

 

まず、グラフをご覧いただきたい。

高齢者のいる世帯のグラフ

平成26年版高齢社会白書(内閣府)の「高齢者がいる世帯」についてのグラフである。
世帯数は年々増加している。すでに人口減少社会になっているのに「世帯」が増加するわけは・・・・このグラフが「高齢者がいる世帯」を対象にしているからだ。日本は現在、4人に1人が65歳以上という超高齢社会。この傾向はまだまだ続き、20年後の平成47年には65歳以上の人口比は33.4%、つまり「3人に1人が高齢者」という社会になる。

 

さて、このグラフは何を意味するか。
全世帯数は平成25年現在5,557万。これに対し65歳以上の高齢者がいる世帯は2,085万(グラフは22年までなので2070万)、全世帯比37.5%で4割間近である。
問題はグラフの内訳。「高齢者のいる世帯」の中で夫婦2人世帯584万(28.0%)、高齢者の単身世帯552万(26.5%)で過半数を上回っていることだ。

 

衝撃的な数字に思えるのだが、「超高齢社会」という言葉が当たり前になった現在、世間はあまり驚いていないようだ。
統計の見方も無頓着に拍車をかけている。新聞報道など、「全世帯」を母数にして数字を見るから──全世帯が5,557万でしょ? それに対して65歳以上の夫婦2人・単身世帯は1,136万。比率にすれば20.4%、5人に1人に過ぎないじゃない。単身世帯は9.9%、10人に1人だから「まあ、なんとかなるんじゃない?」──といった感じの報道。

 

■「最後はひとり」の確率は過半数!!

まことに寒い(サムイ)!
統計の意味する本質をまったく理解していない。
統計は常に「定点」でしかものを見ない。フローの意識が完全に欠落している。
だから高齢者比率はどんなに伸びても33%だと思い、そこから先に思いをはせない。
しかし問題は、老人が増えるということではないのだ。

 

新しい子が生まれ、高齢者が一定の割合で亡くなっていく。高齢者の方が圧倒的に数が多いから”退場数”も多くなり、このグラフはやがて山(ピーク)が低くなっていくだろう。しかし社会の価値観がよほど変化しない限り、世帯構成はあまり変わらない。「高齢者がいる世帯」中、4分の1は夫婦2人であり、さらに4分の1は1人の世帯。夫婦同時に亡くなることはめったにないから「夫婦2人」世帯はやがて「1人」の世帯に吸収されていく。

 

見方を変えてみるともう少しわかりやすいかもしれない。
「夫婦2人」と「完全に1人」を除いた高齢者は、配偶者以外の誰かと同居していることになる。その比率は今でも高齢者の半数に満たない。地方切り捨てで青壮年世代がますます東京など大都市暮らしを志向していけば、配偶者以外の家族と同居できる高齢者の数はもっともっと減っていく。

 

誰もが、全員が、1人の例外もなく、生き続けていれば高齢者集団に入っていく。集団の構成比率は変わらない。
だから極論でもなんでもなく、「最後は1人になる高齢者」はいまも将来も、過半数を超えるだろう!
それがこのグラフが示している意味である。

 

■男性諸氏に、「もう威張りなさんな!」

人ごとのように書いてきたので、私も同じ境遇であるということを最後に書いておきたい。
わが家は現在、90歳の父、65歳の私、63歳の妻、37歳の長男と4人暮らし。長い間同居していた90歳の母はレビィ小体症を患い老人病院にいる。長女と次男は東京住まい。3年半前までは車いすから寝たきりになった母を妻と私で介護した(当時はかろうじて「老老介護」ではなかったが)。現在、父は元気とは言いがたい。軽度の認知症が出始め、身勝手な言動が増えてきた。病院の母は意識がなく、栄養は鼻からチューブで胃に直接届けるという状態だ。

 

こんな状況だが、両親に孤独死最後はひとり)の心配はない。
一方、私と妻は(長男はやがて家を離れるので)「長生きしたほうが1人になる」というきわどい状況である。
私は「俺の方がお先に失礼するよ」なんてことは口にしない。むしろ数年は家内より長生きしてしまうだろうと予想している。

 

だから、こんなことを書いていられる今が一番幸せである。
つまらない事故で先に逝かせたくないので、車の乗り降りや自転車の運転のひとつひとつに、ばかなんじゃないかと思えるほど細かな声掛けをしてしまう。
きょうのテーマと関係ないかもしれないが、男性諸氏には強く言っておきたい。
「もう、威張りなさんな!」と。
一緒にいられる時間、永遠ではない。

 

人生のパートナーが今も健在なら、それにまさる幸運はないと思う。
ふたりの時間を大切に。そして最後は
「俺の方が長生きしてきみを看取ってやる」くらいの男気を見せてほしい。

 

それがエンディングセミナーで私が最も伝えたいことである。
老後を生き抜くためのノート、残された時間(とき)の価値に気づき、何が大切であるかに気づくためのノート。
エンディングノート」をそんなノートにしたいと思っている。

 

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行政書士・石川秀樹ジャーナリスト

 

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ABOUTこの記事をかいた人

遺言、相続対策と家族信託の専門家です。特に最近は家族や事業を守るための民事信託への関心を強めています。遺言書や成年後見といった「民法」の法律体系の下では解決できない事案を、信託を使えば答えを導き出すことができるからです。 40年間、ジャーナリストでした。去る人、承継する人の想いがよりよくかみ合うようにお手伝いしていきます。