★遺言は”説得の技術”です! ゼッタイに書いておくべき21のケース。

遺言は技術だ!書いておくべき21ケース
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団塊世代以降の”新高齢者”(及びその予備軍)の皆さんにお伝えしたい。
遺言を書くのを一種の技術です!
遺産をめぐる身内同士のもめごとを防ぐ意味でも、親しい人の権利を守る意味でも、そして”あげたい人にあげる”という当たり前のことを無理なく通すためにも、遺言の技術を知ってください。
まず、ゼッタイに遺言書を書いておくべきケースをご紹介しましょう。

 

財産なんかないから「遺言」は私に関係ない、と思っていませんか?
命の次に大事な「お金」ですよ、関係ないなんてこと、あるはずがありません。
全員に書いてほしいくらいですが、中でも「これはゼッタイに遺言を書いておくべきだ」というケースを書き出してみました。
「21」ケース。
その「20」までが下のイラストの赤い点線内でのお話でした。
遺言は家族のために書く、これが基本中の基本です。

 

■日本の相続は「核家族主義」だ!

イラストを見てください。相続を規定した日本の民法は「核家族主義」です!
夫婦に子どもがいるかどうかが分かれ道で、いれば相続は赤点線内で完結。
「配偶者と子ども」のみが相続人となり、被相続人の親も兄弟姉妹も関係なくなります。
子どもは「実子」も「養子」も「認知の子(婚外子)」も区別しません。
相続と言うのは、配偶者と血縁者に遺すこと、が前提になっているようです。

 

日本の相続は家族主義

日本の相続は「家族主義」。子どもがいるかいないかが大きな要素だ

 

配偶者は常に相続人。相続分でも優遇されています。
(民法は”血縁主義”が基本なのに、ここだけ妙にアメリカっぽい???)
「子」は法定相続人の順位1位。
子がいないと相続の様相は一変します。

 

「私(被相続人)」の遺産は核家族を越え、赤い点線の向こう側に”流出”していきます。
▼子がいない場合の相続=配偶者が2/3、私(被相続人)の親が1/3
▼子も親もいない場合の相続=配偶者が3/4、私の兄弟姉妹が1/4

 

一方、民法は当然のように「法定主義」の立場をとります。
法律が認めた配偶者、法律が認めた子のみが”権利者”です。
だから長年寝食を共にしていようと、婚姻届を出していない内縁者は
法定相続人にはなれません。認知されていない子も同様です。

 

■”争族”は家族内の対立が大半

“争族”の多くは家族内で起きています(赤い点線内)。
ちょっと意外な感じがするでしょう⁈
叔父や姪、婚外子と骨肉の争い、なのではなく、家族内の対立が大半です。
これらの”騒動”を紙切れ1枚で押さえ込める(かもしれない)のが遺言書。
使わない手はないのです。

 

◇こんな場合は遺言書を書きなさい

  1. 年齢が65歳を超えた
  2. 2人以上の子どもがいる
  3. 親と同居している子どもと、別居している子どもがいる
  4. 子どもの間で経済格差がある
  5. 子どもたちの仲が悪い
  6. 相続人の中に実子と養子がいる  ★
  7. 事業を経営しており後継者に事業を引き継いでもらいたい  ★
  8. 結婚しているが子どもはいない  ★★★
  9. 数度の結婚で、その度に子どもができた  ★★
  10. 高齢となってから結婚(再婚)した  ★★
  11. 配偶者と死別して、その財産を相続している  ★
  12. 別居中の配偶者がいる  ★★
  13. 内縁であり、パートナーと入籍していない  ★★
  14. 息子の死去後もお嫁さんがいる  ★★
  15. 財産形成に寄与した人がいる  ★★
  16. 財産の大半は不動産などの分割しにくいものだ  ★
  17. アパートなどの賃貸物件を所有している  
  18. 相続人の中に行方の分からない者や認知症の人がいる  ★★
  19. 相続で優遇する代わりに配偶者の介護を頼みたい者がいる  ★★
  20. 法定相続人以外の人に、死後なんらかの財産をあげたい  ★★
  21. 法定相続人がいない”おひとりの方”  ★★★ (有意義な財産の使われ方を)

※「★」が多いほど遺言書の必要度は高い。「」は”私ならゼッタイに書く”ケース。

 

遺言書で”争族”の芽を断つのが”親の技量”だ

なぜ遺言書を書くべきか、21のケースを順に説明しましょう<被相続人は「私」>。

 

1.は「遺言適齢期」の問題です。「65歳」に特に根拠はありません。
要するに「意思能力」がしっかりしているうちに書いておきましょう、ということ。
認知症が進んでから書いた「私」の遺言書は意思能力がないとされ、無効になります。
書く気はあるのに、書かない人が多すぎる!
だから「書くべき筆頭」にこの項目を挙げたのです。

 

争族いがみあい

遺産相続が”悲惨争族”になってしまったらあなたの生きた価値が台なしだ
(イラストは剣持暁穂さん)

 

2.~9.までは子との関係で出てくる問題。
兄弟姉妹は仲が良くても、潜在的には親の愛情を争うライバルです。
戦後の民法は兄弟姉妹をまったく平等に扱っていますから法定相続分は平等。
親と同居していようがいまいが、養子でも、婚外子でも同じ。

 

この法律上の平等の権利」がかえって”対立”を招きやすくしています。
子それぞれの生活状況を見ながら、著しい不公平感が生まれないよう、
でも一方では、かわいい子とそうでない子、私にやさしい子とそうでない子、差があるはず、
そこをきちんと遺言書でメリハリ付けて「平等にする」なり「差をつける」なり、自分の意思を伝え争いの芽を摘むというのが”技量“というものです(差をつけても理由があるなら子は納得するでしょう)。

 

8.には格別の意味があります。
子がいなければ配偶者の遺産は、赤い点線の枠からはみ出していくからです。
遺言書を書かないと、親が(存命なら)法定相続人になり、1/3がそちらに。
親も亡くなっていれば1/4が夫の兄弟姉妹に。
これを防ぐためには、たった1行でいいから遺言書を書いてください。
私の全財産は妻の〇〇〇〇に相続させる
※もちろん自分の氏名と住所、日付を自書し自分のハンコを打つことをお忘れなく。

《参考》★妻に全財産を相続させる”魔法の1行” らくらく文例1

 

念のために言っておきますと、《参考》とした遺言書の文例は「妻に」相続させることを前提にしてありますが、妻が大きな財産を所有しているような場合には、妻も夫のために遺言書を書いておくべきです。ただし、夫婦連名で済ましてはいけません。「連名遺言」は無効になってしまいますから。必ず夫婦別々に、それぞれが遺言を書くのです。

 

9.はいうまでもないでしょう? 争いの火種山積みですから。

 

10.は高齢で再婚したケース。子どもたちはきっと
『親の財産を後から来た他人がかすめ取る(私のもらい分が減る)』と考えます。
無理からぬ意識だと思いませんか? 後妻でもなんでも、法律上の妻は妻。
このケースでいえば「半分は持っていかれる」ということになります。
子の複雑な思いに配慮した遺言書をぜひ書いておかなければなりません。

 

■お嫁さんが骨折り損になる日本の相続制度

11.はいわゆる”2次相続“の問題。現在の相続税法は配偶者を優遇しています。
「配偶者の税額軽減の特例」で法定相続分か1億6000万円相当額までは非課税。
また「小規模宅地等の特例」もあり宅地は330㎡まで評価額を80%減額されるから、
配偶者の相続税負担は大幅に軽減されることになります。

だから夫死亡の1次相続では、「妻1人が相続」という形が多くなります。
この場合、妻死亡の2次相続が「遺産相続の本番」となるわけです。
相続の本番、つまり争族も本番
家族内対立を招かぬよう遺言書の出番です。

 

12.13.はほぼ裏返しの話です。
別居していても法律上の「相続する権利」は妻側にあります。
何もしなければ当然に法律上の妻が相続し、内縁者には1円も回りません。
それを覆すには遺言書しかありません。遺言書が最も求められるケースです。

《参考》★内縁の妻に全財産を遺贈する”魔法の1行” らくらく文例2

 

14.のケースもお嫁さんのために「遺言書を遺す」のが義理の親の務め、と私は考えます。
こういう状況を想像してみてください。
夫婦に子どもはいない。夫の両親が老いてきたので同居した。
でも夫が急逝。今さら老親を置いて別居することもできない。

そのまま同居を続け懸命に介護。一方、他家に嫁いだ夫の妹は知らん顔。
ほどなくして義父が亡くなる。遺産は老妻と妹に。その義母も亡くなった。
遺産はすべて妹が相続。

 

『私たちに子どもさえいたなら・・・・』
今さらの嘆き。
お嫁さんが可哀想すぎます!

※この夫婦に子どもがいれば親の遺産は夫に代わり子が代襲相続する。
賢明な両親なら存命中にお嫁さんを養子にするか、遺言を遺したでしょう。
でもそんなことをする人はほとんどいない、というのが日本の現実です。

 

このケースでは、夫の両親に「賢くなってください」はほぼ通じないでしょう。
ならば、お嫁さんが賢明になるべきです。同居に条件を付けるのです。
両親の意識がはっきりしているうちに「養子」の手続きをしてもらうか、
公正証書で遺言を残してもらいましょう。

 

善意だけでは解決しません。
「(義理の)お父さんはこう言っていた」はまったく通用しないんです。
紙切れ1枚でも「嫁に○○○を遺贈する」と書いてあれば、交渉なんてまったく必要がありません。
何十年にも及ぶ同居の苦労が何も報われず、一方では、(親の介護に)何の手を出さなくても血縁者というだけで多くを得られる。これは理不尽と言うべきでしょう。
しかし手を打たなければそうなるのです。
お嫁さんは手をこまねいていないでください。
相続に詳しい専門家の助けを借りて、必ず対応しておくべきです。

>2ページに続く↓↓↓

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ABOUTこの記事をかいた人

遺言、相続対策と家族信託の専門家です。特に最近は家族や事業を守るための民事信託への関心を強めています。遺言書や成年後見といった「民法」の法律体系の下では解決できない事案を、信託を使えば答えを導き出すことができるからです。 40年間、ジャーナリストでした。去る人、承継する人の想いがよりよくかみ合うようにお手伝いしていきます。