★NHK受信料、老人からタダ取りは許されないぞ ‼ 解約のハードルが高すぎる

「NHK受信料のただ取り

NHK受信料、老人からタダ取りは許されないぞ ‼
いやはや、受信料解約のハードルが高すぎるのだ。
このままではよほど健常な高齢者でない限り、解約なんてできない。
解約できないまま、今も受信料をタダ取りされているお年寄りは少なくないのではないか。

 

父が脳梗塞で倒れて以来、書道教室の父の部屋は空き家である。
だからテレビを観る人はいない。
1年たっても父の状況は改善せず、戻って来られる可能性は低い。
というわけで、NHK受信料契約の解約を申し出ることにした。

 

■自動音声に老人は対応できない

NHKふれあいセンターに電話をする。
案の定、「自動音声」による応答。
NHKに限らない。今日日どこの窓口も同じだ。
総合受付の人員を惜しんで「音声通話」に切り替えるから、お年寄りは”入り口”で途方に暮れてしまう。
お気づきでないので、はっきり申し上げておこう。
80歳、90歳の老人に「音声通話」は無理である。

 

脳梗塞に倒れる以前、父は電話を掛けてはほどなくして切る、ということが多かった。
何度も掛け直しては、首を傾げて受話器を置く。
「どうした⁉」と聞くと、
「電話の声がわからない・・・・・」

 

録音テープの声は”人の声”と同じ、と思うのはまだ脳の機能が若い人の錯覚だ。
超高齢者ではない67歳の私でも、最近は人の話についていけないことがしばしばである。
新しいこと、少し込み入った話に対しては「??」となることが多い。
で「なんのこと?」「どんな意味?」と聞き返すことになる。

 

つまり、脳の瞬発力(反応速度)には年齢差がある。
若い人にテープの自動音声はなんのストレスにもならない。
しかし大半のお年寄りは”テープの声”に戸惑ってしまう。

 

自動音声を作る側は、そんなこと知ったこっちゃない態だ(としか思えない)。
「ふれあいセンター」のくせに、”ふれあい”をまったく理解できないようなのだ。
それで、前面に出てくるのはNHKの都合である。
どこからも批判されないようにとの配慮(?)からなのだろうか、
シンプルに「受診契約のことは(プッシュボタンの)”3”」と言えばいいのに、
まず「電話料金」の説明をし、続いて長々と「パソコンやスマホ、インターネットからも手続きできる」などと言う。

 

ただでさえテープのか細い声は聞き取りにくい上に、グチャグチャどうでもよいNHK都合の話を聞かされる。
私はまだ聞き取れる年齢なのですべて先方の意図も理屈も理解できるが、ただ「うるさい」と感じるだけだ。
一向に本題に入らないので本当にイライラする。

 

■待たされること20分・・・・

しかしこのイライラ感はほんの序の口だった。

 

こちらは解約したいだけなのだ。
一刻も早く「人」が通話口に出てきてほしい。
それが、プッシュボタンの「3」を押してようやく「コール音」がして一息つくと、今度はコールが延々と続く・・・・・。
そしてテープの声がまた「混み合っています」「このままお待ちになるか、後ほどお掛け直しください」「何時から何時までにお掛けになるとつながりやすいです」などと、待っている身とすれば癇に障ることばかりを告げる。
何度も、何度も・・・・・うんざりするほどの繰り返し。

 

きっかり20分待たされた。
いつもなら受話器を置くところだが、掛け直してまたお題目のようなテープを聞かされると思うと・・・・・。
怒りのムシを懸命に抑えた。
《待っていれば、いつかオペレーターにつながる》

 

さて、ようやく人間の肉声に接することができた。
ここからが本番だ。
「受信契約を解約したい」と用件を告げると、
「ご本人様ですか?」と聞かれる。
(これはどこもそうだ。本人ならどんなに簡単なことだろう)
「同居している長男です」と答えると、状況を長々と伝える羽目になる。
でも我慢して”尋問”につきあった。

 

「同居されている場合、契約者の変更になります」と窓口の女性は言う。
「んっ?」すぐには意味が飲み込めない。
えっ、同居してたら私が父の代わりに払って契約は続けろということ⁉
「いや、同居しているけどテレビは書道教室の方にあるんだよ」
(これなら「別居してる」と言った方がすんなりいったかもしれない)
1回でこちらの話が通じないので思わず、
「証拠の住民票と書道教室の青色申告書でも送ろうか⁉」と返す。
(申告書には住まいとは異なる住所が記載されているから)
結局、「そこまでしてくださらなくても結構です」という話になった。

 

■解約に書面提出を求められた

これで『やっと解約できるか』と思っていると、
「それでは息子様のご住所に『放送受信契約解約届』をお届けしますので、届いてから15日以内にご返送ください」
なるほどなるほど、NHKは受信契約ひとつ即決せず、役所のように手続きには書面がいるらしい。
この点、通販会社のお手軽さと大違いだ。

 

父は通販好きだった。
代引きの宅配便が毎日のように届けられてくる。
だから入院・入所してしばらくたった時点で私は、商品を定期購入している通販会社に片っ端から電話を入れて解約を申し入れた。
その数15あまり。
どことのやりとりも大概同じで、「脳梗塞になり長期に施設に入らなければならない」と説明すると、「それはお気の毒でした。長い間のご利用、まことにありがとうございました」と、その場で解約となった。
電話1本で片が付いたのだ。

 

でも、NHKは違った‼
電話から数日後、書面が郵送されてきた。
『これで本当に解約ができる・・・・・』
と思って封を開けると、いきなり意味不明の記入事項にぶち当たった‼

NHK放送受信料解約

 

赤線の枠内がそれだ。
「放送受信契約を要しないこととなる受信機の数」とあって「地上( )台」「衛星( )台」とある。
どこにも説明がない。
はて? 父が見ていたテレビは地上波も衛星も受診できたと思うが・・・・・。
となると、「地上1台 衛星1台」ということになるのかな?

 

「意味不明!」と上の写真のように、注記を入れてとりあえず投函しようと思ったのだが、
やはり気になる。
(NHKのことだ、難癖をつけて送り返してくるかもしれない)
やむなく(ばかばかしいとは思ったが)あの音声通話に電話することにした。

 

■解約届が返信用封筒に入らない⁉

オペレーター曰く、「地上」は地上波のみを受診できるテレビ、「衛星」は地上波と衛星を両方受信できるテレビ。
父のは後者だ。
そんなこと当たり前と思っているみたいだったが、初見でこの書き方で「衛星」の意味が了解できる人がいたらお目にかかりたい。
だから私が書いた書面は間違えていた。
「地上(1)台」とした個所に2重取り消し線を引き、さらにハンコを打って「書き間違い」であることを示した。

 

送り返されないよう、もう一度念入りに「解約届」を見た。
おっと、一番上の段にある「日付」を書き忘れている。
ていねいに上から下までチェック。
すると、最後の2行に目が止まった(赤線は私が引いた)。

 

「本届出書の内容に虚偽があることが判明した場合は、届け出時に遡り、放送受信契約は解約されないものとして取り扱うことがあります」

 

まことにしゃらくさい
NHKは何ものなのか⁉
各地の裁判で「NHK受信料」についてはNHKの勝訴が続いている。
何が何でもテレビが在る所から(視聴の有無にかかわらず)受信料を取り立てる権利がある、とNHKは思い始めたようだ。

 

そう思うのは勝手だが、傲慢である。
NHKはこれまでもずいぶん「受信料拒否」の動きに泣かされてきた。
だからここまでかたくなで居丈高になったのだろう。
でも《みなさまのNHK》と(たとえ言葉だけでも)へりくだって見せてきた歴史をお忘れか⁉

 

解約届」を返信用封筒に入れようとした。
だが、NHKが三つ折りして送ってきた文書は、そのままでは返信用封筒に入らなかった。
返信用封筒を同封してきた封筒は、当然ながら「返信用」よりは一回り大きい。
その大きめの封筒に合わせて「解約届」は折ってある。
だからそのままでは、一回り小ぶりの返信用封筒に入らない。
仕方がないので私は、解約届を折り直してなんとか返信用封筒に収めた。

 

何をささいなことでいちゃもんを、とおっしゃるだろうか。
とんでもない。
私のような者が気づいたことを教えてやらねば、高齢者への配慮なぞこれっぽっちも働かず、NHKは無理難題システムを一片の迷いもなく押し付け続けるだろう。

 

■解約できない状況をつくってどうする⁉

どこが無理難題かだって?

  1. 電話の入り口が「音声通話」であること(高齢者の過半数は入り口を突破できないだろう)
  2. ようやくオペレーターと話せたと思ったら、「書類を送るから書いて送り返せ」と言われる無配慮(自筆で書けない高齢者が10人に2、3人はいるご時世なのだよ。NHKは想像もしないだろうが)
  3. 肝心な情報の記述でさえ意味不明であるうかつさ(数字は重要なのに、説明しない不親切!)

 

耳に痛いだろうが、これも言っておく。
老人(65歳以上)がいる世帯の57%は「夫婦のみ」か「単身世帯」である。
内閣府のこの白書の数字が意味するところは、高齢者の2人に1人はいずれ「独居老人になる」ということだ。
私のような家族がいない高齢者は自分で受信契約を解約しなければならない。
当然、できない。
結果、この人たちは(施設に入所したりすれば)自分がいない自宅のテレビ料金を、亡くなるまで払い込み続けることになる

 

高齢でなくても認知症になれば、(テレビを見ても見なくても)生涯、NHK受信料を払わされ続けるだろう
今の解約システムでは九分九厘、自分で解約はできないだろうから。
無論、成年後見人に手続してもらえばできる。
しかしこんな些末な(と言っても「衛星」契約の場合、毎月2280円も払わされるのだが)支払いストップのために、これまた毎月3-4万円の報酬を払い続けなければならない成年後見人の選任申立てをしなければならないのか。
ばかも休み休み言ってもらいたい。

 

■解約できない高齢者を救え!

結論。
NHKは四半期ごとの番組改編で民放のマネをして番宣(のための)番組に血道を上げたり、全国紙に番組宣伝のために全ページ広告を出して何億円も使うなら、「ふれあいセンター」の入り口にちゃんと人を配置してもらいたい
機械ではなく、やさしく語り掛けるオペレーターを。
こうした大事な大事な”お客様からの入り口”に、お金を惜しむんじゃない!
今のNHKの視聴率を底上げしているのは高齢者世代ではないか。
その人々に対して細かい配慮が行き届かなくてどうする⁉

 

さらに言えば、地域を回っている受信料の契約・収納スタッフに独居老人宅や認知症高齢者のお宅を訪問させて、そこに現に住んでいるか、住んでいてもテレビを見られる状況にあるかどうかを確認させ、見られない場合には、NHKの側から自主的に契約解除を行うべきだ

※老人ホームに入所した場合、NHKは免除規定を持っているが、あくまで申し入れが必要で、探してまで免除してくれるわけではない。

徴収することばかりに躍起で、受信料のタダ取りをしていることに頬かむりでは、衡平(こうへい)原則に反している

[aside type=”warning”] コメントの方がこんな記事があることを教えてくれた。
『NHK受信料、死後に「未解約」理由に数年分を請求?』
(Business Journal 2018/7の記事)
「死ぬまで払わされ続ける」どころか、解約しない限り死後もNHKとの契約は続き、そこまで気の回らない相続人はある日突然、払込請求を受けるハメになる――ということだった。。 [/aside]

(最終更新 2018/8/14)

 

◆高齢になったら読んでいただきたい記事
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ジャーナリスト石川秀樹
相続指南処行政書士

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石川 秀樹

遺言、相続対策と家族信託の専門家です。特に最近は家族や事業を守るための民事信託への関心を強めています。遺言書や成年後見といった「民法」の法律体系の下では解決できない事案を、信託を使えば答えを導き出すことができるからです。
40年間、ジャーナリストでした。去る人、承継する人の想いがよりよくかみ合うようにお手伝いしていきます。

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石川秀樹

1950年生。ジャーナリストです。相続対策家(行政書士)。小さな出版社の社長でもあります。何を書いてもユニーク。考え方がまともなだけなんですが。このブログは遺言相続、家族信託、それと老後のあれこれについてが中心。

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