静岡県家族信託協会の石川秀樹です。
みなさん、ご存じでしょうか。
成年後見制度を利用する場合、決して自分が成年後見人になれるなどと考えてはいけません。
この質問者も「成年後見人は家族がなるものだ」と思っていたおひとり。
全然違います。
平成30年の調査結果はまだ出ていませんが、「家族後見人」は25%くらいだと思われます。
4人のうち3人は、法曹業界のプロか福祉団体が選任されます。
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2000年の民法改正で「成年後見制度」は誕生しましたが、制度発足当時、後見人として
当てにしていたのは、間違いなく「家族・親族」でした。
それがどうしてこんなことになってしまったのか。
家族は本人(被後見人)の財産を誤魔化すから、というのが理由のようですが、
言わせてもらえば、
「後見制度支援信託」が創設され、大きなお金は家庭裁判所の許可がなければ動かせません。
信託を家族後見人が断れば、罰であるかのように信託監督人が付けられる(無論、有料です)。
ここまで家族後見人を締め付けているなら、いい加減に、後見と言う業務を家族に戻してあげればいい、
と私は思いますが。
それはともかく、質問者の問いに答えなければなりません。
「家族が後見人等になれない理由(わけ)」を、家庭裁判所関係サイトで見つけました。
(なかなか検索にかからず、苦労しましたが)
まず、①家族・親族間に対立がある場合は、家族後見人は敬遠されます。
②としては、これが最も明解ですが、「本人の流動資産の額」です。
資産が多い場合、はじめからプロたちに回す倣いになっているようです。
③不動産売買が予定されている場合、結果的に流動資産が増えますから、家族はなれません。
「保険金受取」も同じ理由で家族は不可。
④本人が収益不動産を持っている場合も、プロたちの出番のようです。
15の理由の中に「家族後見人が信頼できないから」とは書いてありません。
書いてないけれども、以上の理由を見れば、家庭裁判所およびその周辺にいる人たちは、
およそ「家族」が嫌いなのでしょう。
これは皮肉な物言いをわざとしているわけですが、
そもそも、家族を信頼しないでこの成年後見制度を作った、などということは考えられませんよ!
法が当初あてにしていた「家族」をまるで”仮想敵”のように後見制度から締め出そうとしている、
今の法運用は、どこか根本的に間違っているように思えますがね。
たまにはこういう声にも耳を傾けてくれませんか?
成年後見制度は、人間の善意をあてにし、「本人の残存能力をいかして人間らしく生きてもらう」という高揚した精神でスタートしたんです。
法の精神は素晴らしい。
だからこの制度は、弱者の福祉を向上させる意味のある改革だったはず。
もう一度、原点に戻してくれませんかねぇ。
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