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★家族信託と成年後見、こんなに違う ‼ 「成年後見は問題あり」がくっきり

私は成年後見家族信託について無料で相談に応じているので、毎日のようにメールが届く。
相談の多くは成年後見という制度の中身をほとんど理解していないことから来る疑問や悩み。
あまりに誤解が多いのだ!
成年後見人が何でもしてくれるような錯覚、
自分がその任に就けるかのような思い込み、
読んでいてため息が出る・・・・・。
だが、それは無理もない。
家庭裁判所が発行しているパンフレットはどれも、「成年後見人に家族が就任することを前提にして」書かれているからだ。
成年後見の今の実態とかけ離れた無責任な情報をいつまで家裁は流し続けるのだろうか。

 

私は次の記事で「普通の家族は成年後見を使ってはいけない」と警告した。

★使ってはいけない「成年後見」。認知症対策の切り札にはならない‼

多くの人に読まれるようになったが、まだ「大海の一滴」のようでもある。
なぜこの制度は「普通の家族のためには使えない」と私が感じたのか、もう一度書いてみようと思う。
簡潔に、しかも誰が読んでも分かるように、成年後見家族信託とを徹底比較した。
上が成年後見、下の茶色表記が家族信託である。

 

■取り下げできない制度は、あってはならない

◆対象者

▽既に意思・判断能力を喪失しているか、喪失しかけている人(認知症、精神障がい・知的障がい者)。
▼現在は健常、または軽度の認知症状が出ている人。高齢で重要な仕事や、これから処分したい財産を持っている人が利用することが多いが、私はむしろ、一家の柱に認知症の心配がある場合は、普通の家族でこそ活用してほしいと思っている。

◆目的

▽本人の財産を守ること。家族はむしろ本人の財産を狙う”潜在的な脅威”と考える。
▼本人と家族のために最善のことを、現在から未来に向かって実現する。

◆申立てする人

▽本人や四親等内の親族。市町村長の申し立ても最近増えてきた。
▼申立てではなく、本人、または本人の将来を心配する家族が、本人が元気なうちに受託者となる家族等と契約する。

◆申し立ての問題点

いったん申し立てしたら取り下げられない。家事事件手続法第121条に「家庭裁判所の許可を得なければならない」と明確に書かれているためだ。これは民法の「契約自由の原則」を完全に踏みにじっている。裁判所が”悪法”に従っていてどうする⁈

(申立ての取下げの制限)
家事事件手続法第121条
 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。
一  後見開始の申立て
二  民法第843条第2項 の規定による成年後見人の選任の申立て
三  民法第845条 の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第843条第3項の規定による成年後見人の選任の申立て

▼家族信託は「契約」なので、当事者が合意すればいつでも解約できる。

 

■「事前相談」という裁判所の大ウソ⁈

◆事前相談

▽家庭裁判所との”事前相談”は設定されている。しかし相談は必ず申立ての数日後に設定されるので、相談の結果、「成年後見は私たちが思っていたことと違うので申し立てを取り下げる」といっても「正当な理由」がなければ許可されない。正当な理由とは、①悪意の申立者により健常であるのに申し立てをされてしまった、②本人が死亡した──などに限られているので、本人を連れてきて「私は被後見人にされることは拒否する」などと言っても、許可はおりない。「後見開始の審判が出る前に相談しているのだから”事前相談”だ」と家庭裁判所は言うが、見苦しい詭弁である。民間の感覚を持っている人はこれを「事前相談」とはいわない。後戻りできない事後相談である
▼家族信託の契約書を作成する専門家と家族との事前相談は、何度でも重ねられる

◆後見人、受託者

▽家族が後見人となる確率は最近とみに低くなり、20%台にまで落ちている。70%超は司法書士、弁護士、社会福祉士など職業的な後見人であり、彼らは家庭裁判所から選任される。家族が選任されない理由を家庭裁判所は一応公表しているので(非常に見つけにくいが)、記事末尾に掲載しておく。「自分が後見人になれる」と幻想を持たないように、熟読していただきたい。
▼家族がなることが多いが、友人や士業でも構わない。信頼の置ける人ならOK。

◆後見人、受託者を決定する人

▽家庭裁判所。公的職場の最たるものである家庭裁判所が選任するので、公平を旨としているのであろうが、せっかく事前相談を行っているのに裁判官が同席するのはほぼ瞬間だけであ。後は調査官や秘書官等の事務官任せで、結果として家族の希望は聞き置かれることが多い。(大事なことなのだから裁判官自身が聴きなさいよ!)
▼家族。契約に携わる専門家も助言するが、受託者は最も重要な当事者であるので、決定するのはあくまで家族である。

◆対家族

▽高齢で認知症の被後見人にとっては、悪い家族に囲まれて財産をかすめ取られる事例もままあった。善意の者でも、多少は自分のためにごまかすことがあるのが人間の本性。というわけで成年後見制度においては、家族は”潜在的・顕在的な脅威”であり、家族を財産に近づけない、財産管理について口出しさせない、したがって管理の実情を家族に報告しない、ということが前提になっている。
▼家族信託は家族の協力によって成り立つものであるから、事前も事後も家族との連携を旨とする。

 

■離脱できません、死ぬまでは

◆成年後見制度・家族信託契約からの離脱

成年後見制度からの離脱はできない。脱出不能、鬼のような制度である(まったく!)。後見人が(家族から見て)気に食わなくても、そんな理由では到底解任できない。後見人を執念のように監視し抜いて悪事を見つけようやく解任できたとしても、家裁は次の後見人を選任するだけだ。成年後見は本人が亡くならなければ離脱不能だ。
こんな重たい制度にする理由がどこにあるというのか
役目を終えたら後見人は、さっさと家族後見人と代わればいいではないか!
▼家族信託は契約だから、委託者・受託者が合意すればいつでも終了させることができる。

 

■本人の財産はすべて後見人が握る

◆財産管理

▽本人の財産はすべて後見人の元で管理される。ということは通帳も年金手帳も、不動産の権利証(登記識別情報)もすべて成年後見人が持っていくということである。その管理は硬直的で、家族の希望は聞かれないし管理の実態は報告もされない。重要な判断は家裁に上申書を出し決定を待つ。個人の財産が準国家管理のように扱われるわけである。
▼本人の財産のうち「目的実現のため必要な財産だけ」を受託者に預ける。名義は「受託者名」に換わり、以後受託者は受益者のために財産を管理運用し、処分する。受益者は当然に、受託者に注文を出すことができ、不満なら裁判に訴えることもできる。

 

■限られた契約しかできない後見人

◆契約はどこまでできるか

▽金融機関との取引はおおむねできる。不動産についても限られた範囲だが本人に代わって処分行為をすることができる(居宅の売却・賃貸は家裁の許可が必要)。身上監護のための契約は任務の一つなので当然することができる。しかしこの他の一般な契約や自社株式の議決権行使などはすることができない。上場企業の有価証券等の運用もできない。認知症によって止まった案件の多くは、成年後見人といえども”凍結”を解くことができない。
▼信託契約で「する」と決めた契約はすべて受託者が契約できる。「する」と書いてなくても「信託の目的」に照らして委託者が希望するであろうことはすべて、受託者の裁量ですることができる。

◆相続対策

▽できない(×生前贈与、×生命保険契約、×養子縁組)。本人の財産を守るのが成年後見の目的であるから、生前贈与等は本人から財産を奪う行為に見えるはずである。
▼できることもある(△生前贈与、×生命保険契約、×養子縁組)。生前贈与は委託者(=当初受益者)と受託者の利益が相反することがあるので注意を要する。委託者の意思能力が明瞭にない場合には、無理にやっても税務当局から「贈与」を否認される可能性がある。

 

■成年被後見人は身分を失う!

◆身分・地位

成年被後見人は行為無能力者として扱われ、台帳に登記されることになる。医師・弁護士(その他の士業)・会社役員には就くことができない。議員、公務員の場合は失職する。その他、禁じられる職種多数。
▼委託者が認知症になっても社会的な身分は失わない。(とはいえ、重要な職に就くべきではないと思う。会社社長の場合は悩ましい。強制的に失職するわけではないが”舟”は座礁必至。そんな状況になる前に家族信託契約を結び、退路を作っておくべきである)

認知症のおじいさん

■家族を遠ざける成年後見人

◆財産管理等の報告

▽開示請求しても家族には知らされない。家裁のみが知り家族は遠ざけられる。
▼関係当事者に年に1回以上は財産管理の現状を報告する。

◆監督方法

▽家庭裁判所の監督に服する。
▼家庭裁判所の監督に服さず、契約で監督方法を決める。受益者代理人または信託監督人が受託者の仕事ぶりを監視することになる。

 

■成年後見人の身上配慮などどこにあるのか⁈

◆身上配慮

▽熱心ではない。数ヶ月に1回程度の施設訪問でお茶を濁す成年後見人もいる。身上配慮は民法に定められた、成年後見人の明確な義務であるが、その働きぶりは報酬評価に影響しないようだ。

(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
第858条 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
▼受託者の直接の仕事ではないが、元々が家族であるから身近に接することが多く、施設に入所してからも足しげく通う受託者は多い。

【私の主張】 民法で何故「身上配慮義務」を後見人等に課したのか、理解に苦しむ。こんな意味のない条文があるために「契約するには後見人を付けてください」とバカなこと言い出す施設もあり、本末転倒も甚だしい。「成年後見」においては、家族が敵のように見られているが、家族以上に熱心に身上配慮をしてくれる成年後見人がいるとは思えない。
「禁治産者法」と対置するために無理矢理設けたような条文は、はっきり言って邪魔である。成年後見制度は超高齢社会をにらんだ財産管理手法であり、それ以上でも、それ以下でもない。

 

■本人が死んだらサヨウナラ

◆成年後見・家族信託の効力

▽本人死亡により後見は終了する。成年後見人は死後の事務は一切行わない。
被後見人がひとり身であっても、葬式や供養、死亡に伴う諸手続き等成年後見人の「任務ではない」ということで、手を付けてはくれない。
本人が死亡すれば「身上保護」なぞ論理的にあり得ないことは分かるが、放り投げられたら苦労するのは施設や行政の方々である。
民法の委任は「委任者の死亡により終了」(法653条)という規定のばかばかしい順守を”法律家たち”はどこまで続けるきだろうか?
▼契約した時点から効力を発揮し、委託者死亡後も効力を継続させることができる。本人が独り身の場合、死後の委任事務を信託契約に組み込むことも可能。

死後の委任事務とは
本人(委任者)が第三者に対し、亡くなった後の諸手続や葬儀、納骨、埋葬、法要、部屋の明け渡しなどの事務について代理して行ってくれるよう頼む委任契約である。 

 

■成年後見人の生涯報酬は1千万円超⁈

◆後見人・受託者への報酬

月額に換算して2万円-6万円本人が亡くなるまでの報酬総計は数百万円-1000万円超にのぼることも珍しくない。平均余命が著しく長くなっている今日、成年後見制度に払うランニングコストは途方もなく高い、と言わざるを得ない。
▼契約書作成費用は数十万円くらいかかる場合が多いが、受託者の報酬は「なし」が原則である。成年後見とは逆に、家族信託は初期費用のみ高い。

※ 当事務所の家族信託契約書の作成とコンサルティング報酬は、平均30万円くらいである。契約書作成が難しいというより、信託に関係するご家族に信託の本質を理解いただくことに非常に長時間を要することと、金融機関や登記所、行政機関等に契約の中身を周知徹底させ協力を得ることがこれまた困難を極めるためである。また家族信託は、「契約書を作ったらそれでおしまい」というほどなまやさしくない。長期にわたって契約当事者をフォローし続けることを前提とした報酬だ、と考えている。

 

■後見は「措置」なのか、「サービス」なのか

この際だから言っておきたい。
成年後見制度は「措置」なのか「サービス」なのか?
この制度を立案した者、運用を決めている者、実際に後見業務に携わっている者たちは決して「措置」とは言わないだろう。
では「サービス」なのか?
これも「サービスだ」とは言わないだろう。

 

■1000万円稼ぐ仕事がサービス「0」とは⁈

しかし私は断じる。
成年後見制度は、間違いなく「サービス」でなければならない
運用当事者たちにはこの意識はまったく欠けているが、考えてもみよ!
本人が亡くなるまで終わることなく定期収入が保証されている、
解任されることもなく、怠慢を責められることもなく一定の報酬が保証されるどころか、
たった1人から生涯に数百万円も1千万円超も稼げるおいしい仕事がどこにある!

 

1千万円も稼げる仕事が「サービス業」でなくて何なのだ。
1千万円も出してくださる方は、まごうことなく「お客さま」である。
そういう自覚が後見当事者にないから、こんないびつな制度が存在し続け、ますます偏狭で息苦しい、居丈高な制度に変わっていこうとしているのだ。
裁判所も職業後見人たちも、サービスという視点をまったく欠いている。
成年後見制度が、鉦や太鼓を鳴らし、「後見制度利用促進法」という法律まで作って躍起に「この制度にいらっしゃい」と誘っても、見向きもされないのはそのせいである。

 

■タクシーで乗り付ける士業後見人

◆成年後見人・受託者の不正

▽残念ながらしばしばある。家族後見人の不正が頻繁にあったため家庭裁判所は、運用をどんどん厳しくし家族後見人の比率をどんどん下げているが、全体の7割を超す職業後見人でも不正は散見される。また、身上監護のために施設に赴くような時に、電車に乗れば30分で着くような所に、タクシーで乗り付ける士業後見人がいる。これは”不正”とまでは言えないが、心の中に「しょせん人の金、節約することはない」との思いがあるのであろう。家族(親やきょうだい)の財産を他人に預けっぱなしにする家族から見れば、そんな実態が明らかにされれば腹わたが煮えくり返るのではないだろうか。
「本人の財産を守る」という法の趣旨が、足元から崩れている
制度設計者、並びに最近の後見制度運用にかかわってきた者たちの弁を聴きたいところだ。
▼不正を防ぐために受益者代理人や信託監督人に家族がなり、チェックを行う。「甘い!」という人もいるだろうが、家族信託は元々「信なき家族」なら導入すべきではない。受託者が何を行っても目くじらを立て文句を言い募る家族がいるなら、どうぞ成年後見に! 成年後見人はきっちり本人の財産を守ってくれるだろう(ただしその実態をあなたは見られないが)。

◆成年後見・家族信託をすすめる人

▽銀行・生保などの金融機関、また認知症家族の相談に乗っている地域包括支援センターなど。
ああ、この人たちは「成年後見」の運用実態を知ってお勧めしているのだろうか。
実態を知らずにすすめているとしたら「無責任」を通り越し「罪」というべきである。
▼家族信託への正しい知識があり、成年後見制度の長所・短所を知っている人は、認知症対策、相続や承継対策の切り札としてこれを強力に推奨するだろう。

 

■家族が成年後見人になれない15の理由

2 次のいずれかに該当する場合は,後見人等候補者以外の者を選任したり,
成年後見監督人等を選任する可能性があります。
(1) 親族間に意見の対立がある場合
(2) 流動資産の額や種類が多い場合
(3) 不動産の売買や生命保険金の受領など,申立ての動機となった課題が重大
な法律行為である場合
(4) 遺産分割協議など後見人等候補者と本人との間で利益相反する行為につい
て後見監督人等に本人の代理をしてもらう必要がある場合
(5) 後見人等候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり,その清算につ
いて本人の利益を特に保護する必要がある場合
(6) 従前,後見人等候補者と本人との関係が疎遠であった場合
(7) 賃料収入など,年によっては大きな変動が予想される財産を保有するため,
定期的な収入状況を確認する必要がある場合
(8) 後見人等候補者と本人との生活費等が十分に分離されていない場合
(9) 申立て時に提出された財産目録や収支状況報告書の記載が十分でないなど
から,今後の後見人等としての適正な事務遂行が難しいと思われる場合
(10) 後見人等候補者が後見事務に自信がなかったり,相談できる者を希望したり
した場合
(11) 後見人等候補者が自己または自己の親族のために本人の財産を利用(担
保提供を含む。)し,または利用する予定がある場合
(12) 後見人等候補者が,本人の財産の運用(投資)を目的として申し立てている
場合
(13) 後見人等候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行え
ない,又は行うことが難しい場合
(14) 本人について,訴訟・調停・債務整理等,法的手続を予定している場合
(15) 本人の財産状況が不明確であり,専門職による調査を要する場合

※東京家庭裁判所と東京家庭裁判所立川支部が平成26年作成した「成年後見申立ての手引」11ページから引用

 

■お金で釣ってクモの巣に引っかける後見制度

成年後見の申し立て理由第1位は「預貯金の払出しと解約」。
不変のダントツ1位で、申し立て理由の83.7%を占める。
「生命保険金の受領」も多く、両者を合わせれば全体の91.5%にもなる。
要するに「本人のお金を使いたいのに使えない」、そこでやむなく(もちろん金融機関の窓口で「成年後見人をつけてください」と言われてだろうが)申し立てをしてしまい、後見制度がスタートしてから「しまった」と臍(ほぞ)を噛む。

 

これが「成年後見の今」の実態だ。
お金で釣って、クモの巣に引っかけていのと変わらない。
天下の裁判所がそんな実態を少しも恥じていないことが、不思議でならない。

 

■あなたは「後見人」になれません‼

悪口はともかく、今の後見制度で『自分が後見人になれる』と思って申立てするのは非常に危険だ。
(2)の理由、「流動資産の額や種類が多い」の目安は公表されていない。
裁判官の目分量かもしれない、秘書官の申し立てした家族への印象も重要視される可能性もある。
「どの金額から」とは言えないが、本人の金融資産が「3000万円」を超えているようなら、まず家族は後見人になれないだろう。

 

その他、(1)~(15)までをご参考に。
成年後見に反対する家族がいる場合は、まるで裁判所の意趣返しのように家族は成年後見人に選ばれない。
注意喚起の筆頭に書かれているから、これを甘く見てはいけない。

 

■成年後見は制度が大仰過ぎ、運用にも問題

山ほどの成年後見制度批判になったので、さぞお聞き苦しかったと思う。
批判する立場で書いているから、その点を割り引いて解釈してくださっても結構だし、
成年後見人を引き受ける士業者も特に悪意の人が多いわけではないことを言っておく。
しかし私は、人間性や個々の考え方の違いではなく、成年後見制度自体の物々しさと、運用に問題がある、と指摘しているのだ。

 

超高齢社会、激増する認知症患者という現実を前に、2000年に「介護保険制度」と共に民法に「成年後見」の規定を設けたことは悪くない。
しかし「家族後見人」を前提にした制度が、”(家族)成年後見人”の不正頻発にたじろいで、(法を根本的に練り直すことなく)運用を変えることでまったく別の制度にしてしまったことが問題である。
立法権を持たない最高裁判所の民事総局という一官僚組織が「法の根幹」を揺らしているなど、あってはならないことだ。

 

■「家族が家族を支える」制度に戻れ!

成年後見制度は認知症800万人時代に中核となるべき制度である。
だが現実には、制度の実態を知った人は「ゼッタイに使うものか」と思っている。
この制度に関係する者たちは、この声に謙虚に耳を傾けなければならない。
運用を制度創設当初に戻し、「家族が家族を支える」制度に切り替えるべきだし、
死ぬまで成年後見人を付すなどという”重装備”はやめて、順次家族に引き継ぐなどカジュアルで柔軟な制度に変えてくべきだ。

 

庶民が使いたくない制度など、存立している意味がない。
この問題は官僚ではなく、国会が法改正をして対処すべきであることを言い添えておく。

 

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静岡県家族信託協会
ジャーナリスト石川秀樹相続指南処行政書士

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石川 秀樹

遺言、相続対策と家族信託の専門家です。特に最近は家族や事業を守るための民事信託への関心を強めています。遺言書や成年後見といった「民法」の法律体系の下では解決できない事案を、信託を使えば答えを導き出すことができるからです。
40年間、ジャーナリストでした。去る人、承継する人の想いがよりよくかみ合うようにお手伝いしていきます。

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俺丸200

石川秀樹

1950年生。ジャーナリストです。相続対策家(行政書士)。小さな出版社の社長でもあります。何を書いてもユニーク。考え方がまともなだけなんですが。このブログは遺言相続、家族信託、それと老後のあれこれについてが中心。

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