私が通っている経営塾で「10年後の私」が話題になった。
塾長70歳。なお前を向いて自分の近未来を描くのだとしたら、鼻たれ小僧の私はもっとリアルに「10年後の私」に向き合わなければいけない。こんな一文をしたためた───。
■62歳から新しい私になった
10年後、2026年の私は満76歳になっている。
前年、押しも押されもしない“後期高齢者”に仲間入りした。
しかし現在と同様、いまだに自分の実年齢と私の意識の中にある年齢
(10年後でも「50歳」くらいの感覚であると思う)
とのギャップに首を傾げ、お手上げポーズを取っていることだろう。
私と同年のタレント、武田鉄矢は最近の著書『西の窓辺へお行きなさい』で、下り方の研究について言及している。
上り坂ならつんのめったような生き方でも構わない。
手をついても地面はすぐ目の前にあるから。
でも還暦過ぎて下り坂になったら、生き方を変えなければいけない。
つんのめって手を突こうとしたら、転がり落ちてしまいますよ。
それが下り坂・・・・
まあこのような趣旨のことを言っているのだけれど、ピンと来ない。
彼は数年前に命の危険がある大病をしているから、それで慎重なのだろう。
武田鉄矢を手本にするなら、62歳で2つも新しい仕事を始めた(ブログ書きも仕事だとすると3つ)私なぞ、
危なっかしくて見ていられない!
ということになる。
危なっかしくて結構。
なんといったって、私は始めたかったんだから。
■与える人・よく聴く人になろう!
何の計画もなく、ただ勢いだけで始めた。
この4年間、ずいぶん遠回りしている。
遠回りというか、ぐるぐる回り。
あるいは同じところを行ったり来たり。
歩けど歩けど、ずいぶん歩いたつもりだけれど前進はしていないみたいな、
イライラするような停滞だ、これは。
しかし10年後の私は4年間の停滞を脱して、ついに前を向いて、自信をもって歩いている。
急ぎはしない。
前のめりは抑えている。
武田鉄矢にいわれなくても、慎重に歩を進めるつもりだ、一歩一歩。
でも、事業の数字が伸びてくると、ついムキになってしまうかもしれない。
そんな想像まで浮かぶほど強気になれたのは、ある気づきのおかげだ。
《惜しみなく与える人・ギバーになること》
《誰よりも、人の話を聴ける人になれ!》
こういうことは知っているつもりだった。
山田経営維新塾でも「人間力を高める」という文脈で、何度もたたき込まれた。
しかし腑に落とし込むまでに4年間もかかってしまった。
(できの悪い生徒だ!)
4年もかかったが、気づけてよかった。
まだ間に合うところで気づけて本当によかったと思う。
10年後の私の評判は「いつも私の話をきちんと聴いてくれる人」になっているだろう。
私の面談は、聴くことが「9」、話すことは「1」くらいだ。
「ずいぶん楽な仕事ですね」 底の浅い人はこう陰口を聞くが、
「いえいえ私は、あなたにできない仕事をしています」と笑って答えるだろう。
■人生への敬意が一番の大事
私の仕事は「相続対策」である。
でもね、実際は、相続対策とは
▼納税資金を確保することでも、
▼節税対策をすることでも、
▼一族や家内のもめごとを未然に防ぐこと──でもないんですよ。
お客様が本当に求めているのは 「私が生きてきたことに敬意を払ってほしい」ということなんだからね。
だから私はお客様の話をじっくり聴き、うなずき、 「がんばってこられましたね」と大いにねぎらうだけ。
ここができていれば、後は技術的な対策だ。
真の問題を聴き出したら、ひとつ1つその対策を取っていけばいい。
こういう相続対策家がいることを知ってもらうためにずいぶんエネルギーを使ってきたけれど、
心の底から与える人になれば人は私を見つけてくれる。
そのことを私は、この塾や最近の出来事でから体得した
10年後、私のブログの記事は500を超え、月間アクセス数は7万を超えている。
新規のお客様は年間50人、セミナー・講演は月2、3本。
年収はひと1人を雇えるくらいにはなっている。
(中小企業診断士試験に合格するであろう長男が合流する予定)
まことにささやかな成功ではあるが、塾長は10年後、年に何回か私を特別講師として呼んでくれるだろう。
文章家として? 相続対策のプロとして?
いやいや、そうではなくて、
「深く聴く──私の気づきについて」
といったような、事業の神髄に通じる普遍的な価値観についての話になるのではないかと思っている。
■「今が幸せ」と言える幸せ
今がいちばん幸せ──と思っています。
4年前に静岡新聞を退社し、今は無冠。
ジャーナリスト、ミーツ出版社長、行政書士、と言っても誰も私を知りません。
無名です。
母は3年前から寝たきり、鼻から胃にチューブを通して延命、家族の誰も認識できません。
父は今年正月に脳梗塞で倒れました。
右半身マヒ、嚥下障害がひどく、父もまた鼻からチューブの状態。
今年中に私は、“両親から忘れられた子”になるかもしれません。
それでも「今がいちばん幸せ」です。
目標をもって少しずつ上っている。
傍らには妻がおり、彼女もまた書道に忙しい日々を送っている。
おかげで最近、私が料理を作る機会が増えました。
昔はなんとお気楽だったんでしょう。
それでも、今の私は幸せを享受しています。
10年後の私は、妻が元気でいてくれたらやはり
「今がいちばん幸せ」 と言っているんじゃないかな。
そう言える私は、間違いなく現役バリバリ。
下り坂を坂とも思わないでのっしのっしと歩いていると思います。
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<ジャーナリスト石川秀樹(相続指南処、行政書士)>
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