★認知症と家族信託、実は銀行がカギを握っている!

家族信託
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こんにちは、静岡県家族信託協会石川秀樹です。

よく「認知症の診断が出たら家族信託は無理ですか?」と聞かれます。
それについては、こちらで懇切丁寧に説明しました。

★家族信託の契約は「認知症と診断されたら即アウト」ではありません!

結論を言えば、それだけで「即、もうだめ!」にはならないですが……、
銀行が定期預金の解約に応じないようだと、これはもう「アウト‼」
家族信託の契約は難しいでしょう。

 

■銀行で「認知症」などと言うな!

平成も終わろうとしている時代ですが、人々の銀行についての姿勢はなんともナイーブですね。
銀行の言いなり。
”理不尽な対応”があり得ることを露ほども感じていません。
だから銀行の窓口で、平気でこんなことを言ってしまいます。

 

母親の通帳と印鑑と、母の委任状を持参して、「母の定期預金を解約してください」。
例えば500万円の通帳、そのまま解約してくれる銀行があれば教えてください。
普通は「ご本人でなければ解約できません」と言うはずです。
そこで「母が認知症なので……」と不用意な発言。
そんなことを言えば、銀行の用心深さにスイッチを入れるようなもの、通帳は事実上凍結されてしまいます。

 

認知症と言えば何とかしてくれる」と思って言うのでしょうが、今は逆です。
「それなら後見人を付けてください」あるいは、成年後見制度をよく知らない窓口は
「あなたが成年後見人になってください。そうすればおろすことができますよ」などと言うかもしれません。
銀行が繰り返す「成年後見制度」がどんなものであるかは、コチラをご覧ください。

★使ってはいけない「成年後見」。認知症対策の切り札にはならない‼

 

■キャッシュカードがあっても安心とは言えない

銀行はもはや、昭和の時代の親切な「みなさまの窓口」ではありません。
だから、「認知症」への対応で家族を思いやって何とか融通を利かしてくれる、なんて思わないように。
銀行に限らず、こんりんざい他人に「母が認知症なので」などと言わないでください。
近所の人にも、郵便局でも、保険の営業員にも。
得することは1つもありません。

 

カードを持っていれば大丈夫だと思っている人がいますが、これも”危険な楽観”です。
最近の銀行は、詐欺事件の横行もあって、キャッシュカードによる不自然なお金の動きに目を光らせています。
限度額いっぱい何度もおろすようなことをすれば、「あなたの通帳ですか?」と声掛けされるでしょう。
そんなことがなくても、カードは紛失の可能性があるし、磁気が効かなくなることもあります。
再発行してもらうには、本人を銀行窓口に連れて行くしかありません。

 

■社長の認知症で会社はストップ

ついでなので、これも説明しておきましょう。
次のようなことが、認知症になるとできなくなります。

  1. 定期預貯金の解約
  2. 生命保険の契約条件変更
  3. 上場株式などの解約、取引の中止
  4. 本人名義の不動産の売却、建替え、賃貸
  5. アパート・マンションなど収益不動産の契約更新や補修

 

なぜかと言えば、1―5まですべて「契約行為」だからです。
と言うことは、介護施設に入所するための契約もできないことになります。
ありとあらゆる契約行為はすべてストップします。
建設工事などは長期に渡り、その間、別途契約を交わすこともしばしば。
その要(かなめ)の人が認知症になれば、工事は止まるでしょう。
また会社のオーナーで自社株式を多数持っている場合も大変です。
議決権を行使できませんから、社長の認知症は事業をストップさせてしまいます。

 

そしてさらに家族を困惑させることと言えば―――
「遺産分割協議」が行えなくなります!
協議成立には、法定相続人全員の署名と実印による押印が必要。
押印は「納得しました、異議はないです」と言うことですから、本人が意思表示ができなければ形式的なハンが打たれていても協議書は無効です。
遺産の分割が永久にできないのでは困ってしまうので、成年後見人の出番となります。

 

■成り行き任せでは何とかならない!

以上のように「たかが認知症(ただのよくある病気のひとつ)」にすぎないのに、この病気の影響は極めて甚大です。
世の中の権利関係を律する法律は「民法」ですが、その民法は、人が正常な判断能力を持っていることを前提にしています。
その「前提」を根本的に揺るがす病気が認知症です。
だから、家族の中に認知症の人がいるということは、介護が大変になる、ということだけでは済まない重大事になります。
ところが、みなさんの対応はどうでしょう、そういう認識を持っていましたか?
お母さんやお父さんの様子がおかしい、と感じたら、見過ごさないでください。
先日書きました---

★認知症対策に3つの選択肢。「間に合ううちに家族信託」がベストだ‼

  1. 「何もしない」ための対策を取るか
  2. 公的後見制度を申し立てることを覚悟する
  3. 家族信託使うべきケースか、よく考える

 

成り行き任せで何とかなる、ということは決してありません。

 

■定期預金が解約できなければ、アウト‼

結論が最後になってしまいました。
家族信託認知症対策としてベストな選択だと私は思っていますが、手遅れになれば(契約行為ですから)契約自体が不可能になります。
「まだ契約できる」という基準は何か?

 

至極単純なことです。
銀行で「定期預金の解約を断られる」ようであれば、家族信託は、したくてもできません。
綿密な家族信託の契約書を作ったとしても、意味がありません。
信託するお金を用意できないわけですから。

 

銀行に行くおじいさん

銀行に定期預金の解約に行くおじいさん

 

現代人は驚くほど手元に現金を持っていません。
銀行で積み立てをします。
何百万円かたまると、時機を計っていたかのように「定期預金に」と声掛け。
さらには「生命保険を」「投資信託はどうですか?」と行員はたたみかけます。
大きなお金がみすみす「動かせないお金」に変わってしまいます。

 

■私も「対策」できませんでした

ここにも「認知症」に対する甘さが見て取れます。
「甘さ」とつい言ってしまいましたが、ふつうの人が甘いのは当然かもしれません。
誰だって「自分は大丈夫だ」と思っているはずですから。
わが家も同じでした。
まさか両親の生活が80歳を過ぎてから一変するなど、思ってもみませんでした。

 

母は80歳を境にパーキンソン病を発症。
5年で寝たきりになり、自分では口から食べることができず鼻からチューブの栄養補給により、91歳の今も体は元気です。
毎週のように母を見舞っていた父は、90歳目前で脳梗塞に倒れ、母より先に逝ってしまいました。
父もリハビリと経鼻胃管栄養による闘病で、1年半、格闘しました。
父は認知症ではありませんでしたが、意思表示は次第に難しくなっていました。

 

えらそうに書いている私も、「対策」など何もしていません。
いきなりこんな事態になって、その場をしのぐのがやっと。
困難な状況をなんとかしのげたのは、父も母もキャッシュカードを作っていたからです。
父は筆談で懸命に、通帳のありかと暗証番号を私に伝えました。

 

母の発症の方が10年早かったですから、父は自分の通帳から自動振替で母の療養費を老人病院に払っていました。
父死亡後、母の療養費は遺族年金でまかなっています。
書けばそれだけのことですが、母の意識はありませんから、病院から指定された銀行を経由して医療費を自動振替するには、大変な”腕力”が必要でした。
(銀行を説得しぬいたということです)
『こんなところからも成年後見に追い込まれるのだな』
そうなんです、親の意思・判断能力の喪失は、家族に想像以上の負担をもたらします。

 

■70歳を過ぎたら家族信託

大きなお金を銀行が言うままに「動かせないお金」に換えてはいけません。
とはいえ、高齢者が大きなお金を現金で持つことも危険です。
高齢者は詐欺に狙われ、判断力が鈍った老人に狙いを定めて「通販」がやってきます。
わが家は同居していたので、何とか大きな損だけは防ぐことができました。
しかし父の通販好きは数年来のものだったらしく、請求書・領収書の類が引出しを整理したら山ほど出てきました。

 

私は、70歳の私と80歳以降の私では、「同じ人でいられない」と思っています。
ですから行動を起こすとしたら70歳代前半ですね。
自分の基準をもって、「お金のことは子に任せる」べく手を打とうと思います。
さしあたって家族信託契約で憂いを除き、後は遺言を書きます。
成り行き任せでは、認知症あり脳梗塞ありの「人生100歳時代」を乗り切れません。
わずかな運不運で寝たきりとなる恐れのあるこの時期、安閑とはしていられません。

 

元気なうちにあなたも賢明な判断を。
何でも抱え込んで離さない生き方は、得策ではないですよ。
使い古された言葉ですが「老いては子に従え!」
子から家族信託の誘いがあった時には、真剣に考えてください。

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